用語解説

アメリカのクライミング教則本(Fig.1 左より、How To Climb Seriesの「Knots for Climbers」「Self-Rescue」Mountaineers Outdoor Experet Seriesの「Climbing Self-Rescue」)を読んで、以下に僕が解釈した用語の説明をします。出版されたのが、左より1995,1996,2006ですので、用語、ギア、テクニックに変化が見られます。ちなみに、これらの本はamazon.com.jpで入手可能です。
ザイル(独)、ロープ(英):rope(ロープ)又はclumbing-rope(クライミング・ロープ)。細引きや補助ロープはAcceeory Cord(アクセサリーコード)又はCord(コード)と書いてあります。単純に、ロープとコードで使い分ければ良いと思います。コードにも、コア(芯)が入ってない、ブレード(表皮)だけのものがあります。日本語感覚では、アクセサリーコードでしょうか。また、コアがダイニーマ(スペクトラ)で、ブレードがナイロンのものがあり、これをパワーコードと呼ぶこともあります。ロープやコードなど紐状の物をstrand(ストランド)と言います
シュリンゲ(独)、スリング(英):補助ロープ(コード)やテープ(ウェビング)の両末端を結んで作ったもの、又は、既製品の輪(ソウンスリング)のことを指しますが、スリングとはrunner(ランナー)と書いてあります。ロープスリング(丸シュリンゲ)やテープスリングといった表現はありません。テープ(tape)はwebbing(ウェビング)と言っています。コードをloop(ループ)し結んだものをcordelette(コードレット)と言い、60cm位の短いものをrescue loop(レスキューループ)と言います。この結びはdouble-fisher's knot(ダブルフィッシャーマン)が一般的ですが、最近では、flemish bend(aka figure eight bent)(フレミッシュベンド:別名エイト結び)を使うようです。理由は、素早く結ばれる。残存強度が高い。また、ウェビングをループし結んだものや最初から縫い合わせてある(ソウンスリング)のがランナーで、向こうでも、これをsling(スリング)と呼ぶようです。こういう記述がありました。runners(aka slings)。akaはalso known as の略で、直訳すると(またしられていることとして)になり、ようは「別名」ですね。そうすると、ランナー(別名:スリング)となります。テープもスリングも日常会話では別の意味で使っているので、クライミング専門用語を統一しようということではないでしょうか。そうすると、よく「ランナーとった?」と、言いますが、これは「プロテクションとった?」と言うことになります。また、基本的にレスキューループはレスキュウ(広義で)でのフリクション・ヒッチ用でランナーとしては余り使わないようです。また、ソウンスリングと言う言葉も見かけませんでした。何というのでしょうか。BDのHPには、「ナイロンランナー:アルパインクライミング、フリークライミングでオールラウンドに使えるナイロン製ソウンランナー」「ナイロンドッグボーン:フリークライミングのクイックドローに最適なナイロン製ドッグボーンランナー」「ダイネックスランナー:同じ重量では鉄よりも強いスーパー繊維ダイネックス(スペクトラまたはダイニーマ)製のランナー」といった、商品名と解説があります。ここではソウンランナーと書いてあります。やはり、ランナーですね。国際山岳ガイド山下 勝弘さんのHPの中に、「MAMMUTの8mmダイニーマウェビングはコードやウェビング両方として使用できすぐれものです。」また、「シュリンゲschlinge(独):ロープやテープの小さい輪のことです。昔の人は皆シュリンゲと言っていました。ロープで作成したものはコード cord (英)、テープはウェッビング webbing(英)。これで輪を作るとランナーrunner (英)です。」とあり、興味深いです。
結び:先に書いたloop(ループ)の他に、bight(バイト)という言葉が良く出てきます。どちらも「輪」ですが、ループはFig.2-1の左でクロスして、1つの輪になります。バイトはFig.2-1の右でクロスしません。
具体的には、Fig.2-2の左がダブルフィッシャーマンで連結した、レスキューループで、右はよく使う、オーバーハンドノットで輪を作ったものですが、用途が違います。ループは完結した一つの輪ですので、結び目を無視すれば(弱点ではありますが)リング=輪であり、リングのどの場所でも使用できますが、右のoverhandknot on a bight(日本語風だとオーバーハンドバイト?)は輪の上部が使用箇所になります。ボウラインのバイトをループと勘違いして、バイトにカラビナを掛け、違った方向に力が掛かり(リング荷重)解けることはよく知られています。ループとバイトの違いを理解する事は重要だと思います。dress(ドレス)は、整えるという意味でknotの項にでてきます。A well-dressed knot is a correctly tied knot(上手く整った結びは正しく結ばれた結びです)つまり、結び目が捩れ(kink)ないよう結ぶことが重要だとあります。ついでに、結び目の末端はtail(テイル)尻尾です。
僕は、クライミング用語をすべて英語で統一すべきとまでは思っていませんが、体系的に把握するには、同じ言語の方が良いと思います。それと、造語はあまり使わない方が良いでしょう。クライミングを始めた頃、先輩に「丸スリング、テープスリング」を教えてもらいましたが、その長さを含めた個別の用途の説明は曖昧でした。上記の本では語源から、その用途がある程度理解できるのです。アメリカでは、クライミングだけで、カテゴライズされた出版物が数社から出ています。これを、日本とのクライミング文化の違い、又はアメリカ流のカテゴライズ=レベライズ=グローバニズムともとれますが、日本のガイド本からでは得られない情報ではあります。 よっちん 060707