フリクションヒッチの考察1


巻き付け系


07/04/20 よっちん記

色々な巻き付け系フリクション(ロープグリップ)ヒッチがあり、どの巻き付けがどういう用途に向いているのか皆さん悩みませんか?
僕なりにそれぞれの特性と用途を考えてみました。ご参考下さい。(私的考察ですので注意して下さい)

文中に出てきます用語の解説です。(前項とダブります)
*コード:クライミングロープ(ロープ)と区別するため、補助ロープや細引き等の紐の総称
*ウェッビング:クライミング用のテープの事
*レスキューコード:上記コードの4〜5m単体のもの
*レスキューループ:コードで作ったフリクションヒッチ用の輪
*いわし:ターン(巻き掛け)
*いわしを切る:ハーフヒッチ(一結び)

 プルージック:片手で素早く作れるのでまず最初に覚えるべきフリクションヒッチ(以降FH)。巻き付けるロープとレスキューループの径の差があまり無い場合、正しくブリッジが外側から出ていないと効き難い。径にある程度差がある場合、3回巻けば効く。極端には、1回でも効く組み合わせもある。効きはかなり良いがスライドさせにくい。両方向に効く。用途は、緊急時の登り返しや負荷の移動などに適している。ウェッビングでは殆ど効かない。解くのにやや手間取る。片方の末端の輪(バイト)にロード(負荷)が掛かるので、レスキューコードの先端に作ったループで使用出来る。但しコードが長いと3回通すので面倒くさい。解くのも同様。

 ヘッドオン(クレイムハイスト):巻き付けたレスキューループの頭(ヘッド)に尻尾(テール)を通すだけなので簡単。口を使えば片手でも出来る。効かない場合は巻き付ける回数を増やせば大概効く。スライドはやや堅い。ヘッドが長すぎるとずんだれるのでテールを引き上げて絞る。用途としては、安定した体勢でFHを使ってのシステム構築に向いている。基本的にテールを引っ張る方方向に効く(応用はテールオン)。コード、ウェッビング共可能。解くのが簡単。レスキューコードで作ったループでのFHに最適。ヘッドにひねりを加えると、ずんだれにくくなる。

 オートブロック(マッシャー):巻いて、ヘッドとテールをビナオンするだけなので非常に簡単。口を使えば片手でもセット出来る。クレイムハイストより多く巻かないと効かない。ヘッドとテールの余りが長すぎると相当ずんだれて使いにくい。負荷が掛かってない状態では殆ど抵抗無くスライドする。両方向に効く。用途としては、懸垂のバックアップをレッグループからとる「サードハンド」や、引き上げ(プーリーシステム)のストッパーに向いている。コード、ウェッビング共可能。解くのが簡単。レスキューコードのループではビナオンすると結び目の引き裂き方向に力が掛かるので向いていない。ヘッドにひねりを加えると、ずんだれにくくなる。以前オートブロックはシステム中のFHの総称と解釈していたが、上記の特性を考えるとマッシャーをオートブロックと呼ぶようになった事に頷ける。何故なら、自動にロックするし、自動に解除するからである。時々絡まるが。

 バッチマン:カラビナとロープを同時に巻き付けるのでセットがやや面倒。片手では出来ない。より多く巻かないと効きが悪い。スライドはカラビナを持ってやるので非常にやりやすい。片方向しか効かない。用途は登り返し時、ロープが岩に当たって、通常のFHを上げにくい場合に有効である。また、フィックスのトラバースや登高に便利である。カラビナに別のコードを付けておけばたぐり寄せも簡単である。コード、ウェッビング共可能。注意:効きが悪いのでより注意深い確認を要す。

 いわしの連続切り:ロープにレスキューループをガースヒッチし、いわし(ハーフヒッチ)を連続(トートヒッチ、自在結び)していくやり方。効くまでいわしを切ればいいので調整が楽。口を使わなくても片手で出来る。スライドはプルージックよりやりやすい。解くのがやや面倒。片方向しか効かない。用途はプルージックで効かない場合の代わりなどが考えられる。コード、ウェッビング共可能。

 ブレーカーズヒッチ:ツリークライミングのアッセンデイングで使われているが、山ではまだなじみが薄い。コード単体や、メインロープで使用できる。効きは良くスライドも容易。コード単体でのFHはバルトタンが一般的。マッシャーの変形。ボウラインの出来ないクライマーはいないので、誰にでもすぐ出来るが、上手く巻かないと相当ずんだれる。リング荷重もやや心配。安全性、信頼性ともにブレーカーズヒッチの方が良いと思う。ポロネはプルージックの変形だが詳細がまちまちなので割愛する。注意:負荷の掛かっている状態で結び目を握るとスライドする。



スペクトラ(ダイニーマ)はナイロンより低温で融解します(スペクトラ≒150° ナイロン≒230°)。使用に際して一考して下さい。