C.C“昴“ 登山学校 マウンテンクライミング中級 実践1レポート
日時:2006/6/4
ルート:表妙義・星穴岳
講師:新保 司 生徒:よっちん。ユカリン
コース:中之岳神社→西岳→星穴岳→星穴→南面の沢→車道
レポート:よっちん
今回は、当初、山岳会の3人パーティーで僕がリーダーで一人は岩稜帯の初級者と言う設定でしたが、実際は新保さんが影の役割でアドバイスしてくれて、僕とユカリンの二人での山行形態になりました。一般道から、西岳へのルートに入るとまず6mのくさり場があります。そのまま進もうとした僕に、くさり場での確保を教えてもらいました。ハーネスのビレイループよりソウンスリングの角を2本出します。(60cm×2もしくは120cmを2重にする。ビレイループにはガースヒッチで固定する)その先にロッキングビナをオーバーハンドもしくはグローブヒッチで固定します。(ビナの遊びを防ぐ為です)一つの角をくさりにクリップし、ロックします。残りのロッキングビナは、先に掛けたビナにクリップします。片方がフリービナの場合はロッキングビナでくさりにクリップします。残りのフリービナは先に掛けたロッキングビナにクリップします。(注:必ず一つはロッキングビナにして下さい)くさりを固定している杭に着いたら、くさりにクリップしていないロッキングビナを杭の先(進行方向)のくさりにクリップし、ロックします。後ろのビナは解除し先に掛けたビナにクリップします。片方がフリービナの場合、先にフリービナを杭の先のくさりにクリップし、更に、後ろのロッキングビナを解除後、杭先のくさりにクリップしロックします。この場合、フリービナもくさりにクリップしたままでOKです。杭の通過はこのように行いました。今回は、約2m間隔で杭が打ってあったので、滑落しても2mで止まる事になります。
西岳直下でやや立った4mの壁(RCCⅡグレードのⅢ程度)を登ります。ここからロープを出しました。ロープは予め袋に詰め(流れるように)ザックの一番上に装備します。先端にロッキングビナを着けチェストハーネスもしくはザックのショルダーハーネスにクリップしておきます。登った先が分からないので、おおよそ15mロープを出しました。ロッキングビナの着いた末端をビレーヤーに渡します。ビレーヤーはさらにフリービナを掛け2枚掛けでビレイループに固定します。リードは15mだした所でエイトノットのループを作りロッキングとフリービナの2枚掛けで自身のビレイループに固定します。このアンザイレンの方法は、滑落程度の想定と懸垂と登りの度の解除、再アンザイレンのスピードアップに有効です。ビレイヤーは立ち木の根本からソウンスリングをガースヒッチし、セルフビレイを取りビレイ体勢に入ります。この壁にはフィックスが張ってありますが、必ず引っ張ってみて確認してください。リードはなるべく早い時点でプロテクションを取ります。登り切った先の安定し、かつ、ビレイ支点が工作出来るところで、フォローのビレイに入ります。この先、ロープは出したままです。コンテニュアンスビレーとスタカットビレーの切り替えがまだよく分からず、スタカットを多用しました。経験不足からでしょうが、緑生い茂る視界では先が分からず、葉っぱが落ち視界が開ける時期ならもう少しコンテに出来たと思います。コンテの場合、15m位が良いです。ランナーは要所〃で取りますが、滑落の危険性が無い場所ではスピードを考え取らない場合もありますが、リーダーの判断は難しいです。リードはコンテで進んだ場合、ロープを無理に引っ張らない。下りや、トラバースでは、フォローは返って危険になります。が、コースが屈曲すると、ロープが重くなるので、トップはどうしても引っ張りぎみになります。この意味でも15m位が妥当だと思います。また、トップは危険箇所と思ったら直ぐにスタカットに切り替えます。その場合、必ず、ビレイ支点の工作出来る場所で行います。フォローはロープがたるるんでいたら、安定箇所でも進んではいけません。今回の様なバリエーションルートでは、支点の工作、既存支点の補強が重要なファクターになります。壁のトラバースでフィックスを張ったリングが動いていたので、リングを打ち足しました。新保さんからリングを打たないで、立木からコードを延ばせばいいと指摘されました。確かにその方が早くて強度も出ます。
星穴岳からはピーク直下を回り込んで星穴まで懸垂しました。星穴を見学後そのままの状態でロープをのばし、一杯まで降りましたが、これは失敗でした。
回り込んでいるので、ロープは屈曲していて、回収出来ません。新保さんは、少し登り返して、直線ライン上の立木でロープを回収し、降りてきました。回収の際、落石がありました。ゲレンデではあまり無いことですが、本チャンでは、ロープ回収に落石は付き物です。下降終了点も落石ラインをはずし、下降支点の工作が出来る場所を考慮しなければいけないのです。無闇にロープ一杯まで降りると、登り返すはめになります。数回は立木に直接ロープを回して懸垂しましたが、太い木ほど摩擦が大きく、途中のちょっとした抵抗で、引くロープがかなり重くなります。こういう場合は、捨て縄(新しいもの)で懸垂支点を作った方が結果早いです。ちなみに、立木の根本にロープでこすった跡をさがすのもルートファインディングの一つです。今回は、僕の判断で沢通しに懸垂しましたが、歩ける所は沢にこだわらず、中腹や尾根の歩きやすいルートに臨機応変に換えた方が良いです。このルートファインディングも経験を積まないと得られない技術でした。今回の実戦訓練はゲレンデでは出来ないので、貴重な学習になりました。
総括すると、
1、山岳会としてリーダーを立てた山行では、少なからずリーダー責任が発生する。個人山行と違い、スピードより、メンバーや状況に合わせた危機管理能力がリーダーには求められる。そのため、目標に達することに重点は置かず、常に安全を優先しなければならない。そして、安全性を重視した時間配分、コース取りが重要になる。ビバーク装備は必携である。
2、個人山行では、お互いの力量が分かっているので、スピードと安全性のバランスが変わる。
3、テープスリング、捨て縄用の新品コードは多めに装備する。クイックドローはあまり使う場面は無かった。また、カムディバイスも持参したが、その重量ほど、必要性は無かった。但し、敗退、もしくは支点工作用のジャンピングとリングはチームで1セットは必携である。
4、懸垂ルートのルートファインディングは臨機応変に。また、懸垂支点が弱いと感じたら、直ちに補強する。
5、バリエーションルートはゲレンデとは違う未知の危険性があることを十分に把握していなければならない。
2006.6.4 妙義山 星穴岳 昴スクール ユカリン
今回は 自分たちでリーダーになり 岩登りの経験の浅い50代の男性を連れて行くという設定で計画を立てるとことになった。 計画書、装備表を作る。コースは中之岳神社〜中ノ岳〜西岳〜星穴岳〜中之岳神社としたが、中ノ岳も回るのは時間的に無理とのアドバイスを受け神社から西岳に向かうコースにする。高低差400 距離2キロ足らずでそんなに時間は掛からないのかなと思っていた。装備は捨て縄を多めに持つ事にした。装備をつける。ロープはすぐ出せるようにロープバックに、さばきながら末端から入れていく。もう一方の末端をエイト結びにしてカラビナをかけザックから出しておき。利き手側に掛けておく。
神社を通り西岳に向かう。踏み後らしきものを頼りにのぼる。登って行くとコースが分からなくなる。進むとすればきわどいトラバースになる。迷っていると 少し戻ったところの右側に岩を刻んだような後がありそちらがルートだった。鎖場となる。シュリンゲを鎖に掛けながら 登る方法を教わる。ハーネスからセルフビレイ用のシュリンゲを2本だしそれぞれに環付きカラビナを掛ける。鎖にビナを掛け、鎖の固定地点まで登る。もう一つのビナを固定部分の先に掛け手前のビナを外し登る。これを繰り返す。カラビナは、環付きが望ましいい。2つのうち1つは環付きにする。その場合は架け替えて登るときは環付きを使う。その後段々のぼりがきつくなる。先がどうなっているかわからないという事で, ビレイする。ランナーはほとんどが雑木からとる。私はセカンドで行くが、先がどうなっているのか見当ががつかないため声が聞こえないと不安である。ゲレンデ では、ロープの感覚だけで判断する場合もあるが、今回は何度か確認し直した。比較的簡単なところは、コンテで行く。セカンドは必ずロープが張った状態で行動する。ただ安定しない場所の場合は少し移動した。コンテにするかスタカットにするかはリーダーの判断となる。回収したスリングやビナはセットにしてまとめ肩にかけたスリングに掛けトップに渡す。スピードが大切なので、素早く渡せるよにする。セカンドが追いついたらすぐ回収したギアを受け取りまた登る。引き上げたロープは天地をひっくり返しトップのロープを流れ安すくする。
西岳から星穴の途中 トラバースの岩稜帯。フィクスロープが張ってあるが手前のリングボルトはグラグラのため打ちかえた。フィクスロープはどのような状態かはわからない、初めから信用せず不安なときは手持ちのものを足すこと。星穴に降りる懸垂。大きな岩にスリングが掛けてありロープで補強してある。古くて頼りなさそうなのだが、そのまま利用する。捨て縄を足すべきだったと思う。少し右側に 寄りながら降りる。ロープの長さを考え安全に降りれる場所を探すのがトップの役割だろうか。懸垂のセカンドはトップが降りた後ロープの絡みを直したり、落石を誘発する位置になっていないか、クラックに入っていたりして回収に支障がないかなど、確認してロープを直しながら降りる。降りる位置は、落石を避けられる場所を考える。降りたら必ずセルフビレイ。落石を考えなくてはいけないので、安全と思われる場所でも必ずとる。ゲレンデではあまり意識していなかったので、数回とっていなかった。沿いに降りていったが、尾根に沿って降りた方が安全。沢は落石の通り道となる。星穴の懸垂は一端ピッチを切ったがロープが余っていたため続けて又10メートル程降りてしまった。結果的にこれがロープ回収時落石を誘発してしまった。身をもって怖い体験をすることになった。数回懸垂を続けるが、はじめは立木にロープを回して懸垂をしていた。3回目にトップが懸垂をすませ、ロープを引いてみるが引けない。木の摩擦が思ったより大きいようだ。位置もいくらか屈曲していた。立木をよく見ると懸垂した後が残っている。懸垂に使われたことのある木を見つけることも、懸垂地点を探すポイントの一つ。捨て縄を使うとロープの回収はスムーズだった。安全を考慮して、どこを懸垂しながら下るか、懸垂せずにそのまま歩いて下るか、ロープは出すのか出さないのか、メンバーのり力量で大きく変わってくると思う。今回は日没が近づいてきたためスピードアップも考えなくてはならず難しかったと思う。今回のような実践を積むことで獲得される技術であろう。落石に対しての意識の低さを痛感した。実践の山という感じで内容の濃い山行となった。