ハイネ「歌の本」より"ローレライ"原文


「ローレライ」

ハイネ詩・近藤朔風訳詞・ジルヘル作曲


なじかは知らねど 心わびて
昔の伝説(つたえ)は そぞろ身にしむ
寥(さび)しく暮れゆく ラインの流(ながれ)
入日(いりひ)に山々 あかく栄(は)ゆる

美(うるわ)し少女(おとめ)の 巌頭(いわお)に立ちて
黄金(こがね)の櫛(くし)とり 髪のみだれを
梳(と)きつつ口吟(くちずさ)ぶ 歌の声の
神怪(くすし)き魔力(ちから)に 魂(たま)もまよう

こぎゆく舟びと 歌に憧(あこが)れ
岩根(いわね)も見為(みや)らず 仰げばやがて
浪間に沈むる ひとも舟も
神怪(くすし)き魔歌(まがうた) 謡(うた)うローレライ




マルクスはハイネについて、娘のエレナに語った。
「詩人というものは妙な人種で、
彼らには自分たちの好きな道を歩ませてやらねばならない、
彼らを常人の尺度で、いや、常人でない人間の尺度でも
計ってはならないのだよ」
詩人をクライマー(攀人)に置き換えると、
詩人と攀(ハン)人。何処か似てる。